ライフサイエンス分野のためのRI実験ガイド 

本コンテンツ作成にあたり

これまで放射性同位元素(Radioisotope;RI)はライフサイエンス分野を中心に広く利用されてきましたが、近年多くの手法が蛍光等のnon-RI実験に移行しつつあります。しかし、RI実験の高い感度、定量性等の有用性は依然として変わらず、non-RI実験に勝る部分も多くあります。さらに、RIでしか計測できないような魅力的な実験も近年の技術発展により出現しました。このような背景から、ライフサイエンス分野で利用される機会が多い技術や実験における基礎知識を紹介する、本ガイドを作成しました。感度や定量性の高いデータを取得したい場合や、蛍光試薬等で思った通りのデータが得られなかった場合のセカンドチョイスとして、放射性試薬の利用を検討していただければ幸いです。

飯塚 裕幸(東京大学 工学系・情報理工学系等環境安全管理室)
加藤 真介(横浜薬科大学 健康薬学科 放射線科学研究室)
原 正幸 (東京医科歯科大学統合研究機構 研究基盤クラスター リサーチコアセンター)
松波 圭一(順天堂大学 大学院医学研究科 研究基盤センター アイソトープ研究室・放射線管理室)
協力:株式会社レビティジャパン
日本アイソトープ協会 医薬品部 医薬品・試薬課

 

本コンテンツの特徴

①  実験する前に考えるべきことを実験ステップごとに提示することで、実験の流れをイメージできるようにしています。
②  放射線業務従事者の教育訓練でもお使いいただけます。
③  教育訓練等でお使いいただきやすい冊子版、詳細な情報が記載されているWeb版をご用意しました。

 

冊子版 *Web版を抜粋したものになります。

冊子版はこちらから

施設に置いて頂ける方、教育訓練等でお使いいただける方は、以下のリンク先よりお申し込みください。1回につき10部までお送りいたします
こちらからお申し込みください。

 

Web版

1)RI実験の特徴・メリット
…感度や定量性だけではないRI実験の多様な特徴とそれがもたらすメリットについて

2)できることリスト(実験一覧)
…多様なin vitroin vivo実験について

3)RI実験の基礎知識
…用語、定義、放射化学計算、RIの特長について

4)RI実験の原理と取得できるデータ
…細胞増殖試験を例にした基本原理と取得データについて

5)放射性試薬の分類
…精製アイソトープ、ヌクレオチド、RIA、低分子化合物等について

6)放射性試薬の選定
…RIの選択、標識位置、比放射能等を参考にした選択について

7)実験計画
…計画のポイントと、RI施設の選定フローについて

8)試料のRI計測
…計測方法、試料の調製、条件設定、データの評価について

9)相談窓口

 

 

1)RI実験の特長

 

1.RI実験が用いられる多様な研究領域

特定の生命現象の解明から創薬研究までの多様な研究分野で利用できます。特に、近年はPET(Positron Emission Tomography)やSPECT(Single photon emission computed tomography)を用いたイメージング技術の進歩などもあり、RI実験が用いられる領域が広がっています。

基礎研究:分子細胞生物学、生化学
応用研究:医学、薬学、獣医学、栄養学、農学

 

2.多様な放射性試薬のラインナップ

RIは様々な化合物に標識できるため、多くの製品ラインナップがあり、様々なニーズに対応した実験ができます。RIを用いて自身で化合物を標識することも可能ですので、その可能性は多岐に渡ります。希望するRIを加速器で製造することも可能ですし、RI単体として実験に利用することも可能です。

多様な標識対象:DNA、RNA、ペプチド、タンパク質、抗体、化合物、細胞

 

3.化学的挙動

化学的な挙動は標識したとしても、もとの化合物とほぼ同じですので、化合物の動態を解析するような実験(薬物動態解析等)において強みを発揮します。ただし、放射線は原子核の崩壊に伴って放出されるので、計測しているものはあくまで原子の動きであり、必ずしも化合物全体の分子としての動きではないことに注意する必要があります。また、標識化合物が溶液内で均一に存在せず、コロイド状物質(*)のような挙動を示すこともありますので注意します。

*コロイド状物質:標識化合物を取り扱うとき、標識化合物が大きい粒子となって分散するコロイド状物質のような挙動をしめすことがあります。このため、標識化合物がビーカーに付着し、予想通りに希釈できない場合があります。この現象は、比放射能が高いほど起こりやすいので、標識化合物と同じ化学形のキャリア(非標識化合物)を添加し、比放射能を下げることで改善できます。

 

標識化合物のトレース

蛍光標識に用いられる多くの蛍光色素の分子量は約100~1000であるため、低分子化合物やペプチドをトレースする際に影響を与える場合がありますが、放射性試薬は目的とする化合物の一部の原子をRIに変換した物質ですので、ほぼ影響を与えません。しかし、質量数の違いから反応速度や拡散においてRI間での違い(同位体効果(*))がみられる場合があります。

*同位体効果:例えば、1Hと3Hでは質量数が異なるため、標識化合物と非標識化合物では分子量が異なります。そのため、反応や拡散が異なる場合があります。この現象を同位体効果と呼び、代謝研究においては念頭に置いておく必要があります。

 

RI単体のトレース

元素単体をトレースする場合、他の手法では計測することが難しい場合がありますが、RI単体を用いることで正確にトレースできます。この技術は、生体内の微量元素の代謝研究などで力を発揮します。

 

4.高い感度

RI実験は検出感度が極めて高いため、極微量の物質を検出することが可能です。そのため、投与する量も微量で十分な場合があります。ここでは、non-RIの手法との比較例をご紹介します。

 

Radioimmunoassays(RIA)の例

タンパク質の定量方法としてRadioimmunoassays(RIA)がありますが、pg/mlオーダーという高感度で検出できるものもあります。non-RIの手法であるELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)と比較するとアドバンテージがあり、血清や尿などの体液試料にごく少量にしか存在しないバイオマーカーの計測に力を発揮します。

 

Positron Emission Tomography(PET)の例

Positron Emission Tomography(PET)を用いたイメージング実験では、生体組織内でpmol/Lのプローブ集積を画像化することが可能であり、non-RIのイメージング装置と比較するとオーダーが異なります。

 

5.定量性

RI実験は高い定量性を持つことも大きな特徴です。定量性が必要な場合は、RI実験を検討するのもよいでしょう。

 

ImagingPlate(IP)の例

ImagingPlate(IP)はそれまで用いられてきたX線フィルムに比べ検出感度が3桁ほど高く、広い計測範囲で定量性が保たれています(ダイナミックレンジ105程度)。

 

 

2)できることリスト(実験一覧)

RIは研究目的や用途に応じて様々な実験ができます。ここでは、様々なin vitroin vivo実験をご紹介します。

実験名 実験概要
・Radiometric ligand-binding この手法では、目的の受容体を含む細胞または細胞膜へのRI標識リガンドの結合性を計測します。RI標識リガンドを使用して、飽和曲線、競合実験、カイネティックアッセイを実施することができます。フィルターが底面に貼られたマイクロプレートを使用すると、アッセイを簡便に行うことが可能です。
35S GTP binding Gタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptor; GPCR)の活性を計測する手法です。このアッセイでは、細胞全体ではなく細胞膜を使用し、トランスフェクションした目的のGPCRを含む細胞膜へのGTPアナログの結合性を計測します。
アゴニストによるGPCRの活性化により、受容体は立体構造を変化させ、Gタンパク質複合体の結合部位を露出させます。その後、Gタンパク質 α サブユニットはGDPを放出し、GTPに結合します。このアッセイで使用されるGTPはRI標識された35S-γ-GTPであり、細胞膜に結合した放射標識GTPの量を計測することで着目するGPCRの活性化を計測できます。
・Radioimmunoassays(RIA)
・血中インスリン量の計測例
Radioimmunoassays(RIA)は、抗体を使用して試料中の抗原の量を検出および定量する手法です。原理としては、non-RIの手法である、Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay(ELISA)法と似た原理でタンパク質を定量することができます。この手法は、非常に高感度で特異的であることが特徴であり、高親和性の抗体(Kd = 108~1011 M)を用いる場合、数pgの抗原を検出できます。
・Scintillation proximity assays(SPA) Scintillation proximity assay(SPA)は、リガンドバインディングアッセイ、35S GTP binding assay、in vitroキナーゼアッセイ、その他の酵素アッセイ、タンパク質と核酸間の分子間相互作用などの多様な生物学的プロセスの解析のための手法です。SPA はシンチレータが練りこまれたビーズを使用した、マイクロプレートがベースのMix & Measureなアッセイ手法です。したがって、他の非RI試験と同じく、アッセイの簡便化・小量化が可能であり、廃液の問題も低減されます。SPA は確立した手法で、500以上の文献に引用されています。
・Cell and metabolic labeling 関心のあるRI単体、またはRI標識された前駆体(アミノ酸、DNA前駆体、代謝前駆体など)を細胞の培地や標識用のバッファーに添加することにより細胞に供給します。これらRI単体や前駆体は、標識されていない化合物と同様に細胞に取り込まれ、細胞ベースの実験を実施することができます。細胞内で謝されるRI標識化合物は、標識されていない化合物と同様のプロセスで代謝されることが特徴です。ここでは例として、RI標識Thymidineを使用したDNA合成量の計測方法を示します。
・Thymidine incorporation
正常ヒト肺繊維芽細胞(NHLF)での計測例(リンク先、P.4)
Thymidine incorporationは、リンパ球等の細胞の増殖を刺激または阻害する化合物の能力を評価するために、免疫学、がん、幹細胞、および医薬品研究で頻繁に採用されている手法です。この手法では、細胞分裂中に生成されたDNAへの3H-または14C-Thymidineの取り込みを計測します。
51Cr release assay 特に腫瘍およびウイルス細胞において、細胞毒性を定量するための手法です。原理としては、 標的となる細胞を51Crで標識し、標識されたRIは細胞が障害を受けることで放出されます。その試料を遠心分離し、上清を収集することにより、51Crを分離し、直接カウントすることができます。最近では、シンチレータがコーティングされたマイクロプレートを使用したアッセイ法も開発され、他の非RI試験と同じく、試験の簡便化・小量化が可能であり、廃液の問題も低減されます。
・DNA and RNA labeling in vitro RI標識した核酸プローブとして、特定の塩基配列を持った核酸や核酸結合タンパク質を検出できます。得られた標識プローブは、in situハイブリダイゼーション、サザンブロッティング、ノーザンブロッティングなどの用途に使用できます。
125I Labeling of proteins 目的のタンパク質に高い比放射能を持つRIで標識する方法であり、標識した化合物はリガンドバインディングアッセイや、RIA等に用います。
・CAT reporter gene assays CAT reporter gene assaysは、トランスフェクションした細胞のレポーター遺伝子の発現を評価するための手法であり、細胞シグナル伝達経路の活性計測に欠かせません。
・35S Methionine Labeling 35S-Methionineや35S-Methionine/Cysteineなどの低エネルギーのβ線を放出するRIを用いたタンパク質標識法は、生体内でのタンパク質の生合成や分解過程を解析するために用いられます。
35S標識されたMethionine含有タンパク質の定量と同定は、2次元SDS-PAGEゲル電気泳動等により行われます。また赤血球溶解物等を使用した無細胞タンパク質翻訳も、35S-Methionineを使用して解析できます。
・Acetylation assays 3H-Acetyl-CoAおよび14C-Acetyl-CoAは、ヒストン等のタンパク質のin vitroアセチル化を評価するために使用されます。アセチル化は、タンパク質またはペプチドのN末端、またはタンパク質内のリジン残基で起こります。また、3H-Acetic acidを使用して細胞内のアセチル化を調べることができます。
・Phosphorylation assays Phosphorylation assays(in vitroキナーゼアッセイ32Pまたは33P-ATPを使用します。この手法では、ATP(またはGTP)から基質へのγ位のリン酸の転移を計測します。基本的には、ペプチド、タンパク質、脂質、小分子など、基本的にあらゆる種類の基質に使用できます。
Radioenzymatic assay(REA) 酵素活性計測法の一つであり、ある特定の酵素の基質としてRI標識化合物を用い、標識された部分を含む生成物を適当な方法で分取し、その放射能を検出することにより酵素活性を計測します。
培養細胞を用いた薬物の膜透過性試験 特定の薬物の吸収率をin vitroから予測する実験系として、培養細胞を用いた薬物の膜透過試験があります。ここでは、ヒト結腸癌由来の細胞株であるCaco-2細胞を用いた、ヒト経口吸収量や速度の求め方を示します。
ラット、マウスを用いたADME 試験 RI標識した化合物を用いて、吸収、分布、代謝、排泄を評価する手法です。
放射性セシウムのイネへの取り込み 植物内で元素そのものの分布や動きを評価する手法です。
ジェネレータの作製と娘核種を用いた実験 放射平衡にある親核種と娘核種から、娘核種のみを繰り返し分離する目的で作成されたセットはジェネレータと呼ばれ、RIを用いた診断・治療や化学実験に使用されます。ここでは、ジェネレータの作成と、娘核種を用いた実験例を示します。

 

 

3)基礎知識

ここでは放射性試薬を扱う上で前提となる用語・定義、放射化学計算、RIについて紹介します。実験する際に必要な知識ですが、RI実験の全体像を先に知りたい場合は、読み飛ばしてしまっても構いません。

基礎的な定義(標識化合物、放射能の単位、比放射能・放射能濃度、純度))

放射化学に関する各種計算

 

 

4)RI実験の原理と取得できるデータ

RI実験では、RIから出される放射線をカウントすることで、RIの量を数値、画像データが得られます。ここではRI実験によりどのようなデータが得られるのかをイメージしましょう。

 

RI実験の原理

RI実験の基本的な考え方はシンプルで、蛍光試薬と同じような実験の流れとなります。

 

①目的物のRI標識

目的とする物質(化合物、タンパク質等)をRIで標識したものを放射性試薬として用います。自身で標識しないで、市販品のRI標識化合物を用いる場合もあります。

②系内へ導入

放射性試薬を培養細胞や実験動物へ導入します。

③計測器で検出

培養細胞や実験動物を調整し、その試料に含まれるRIを計測器で検出してデータを得ます。

 

RI実験で得られるデータ

得られるデータも蛍光試薬を使う実験と同様に、用いる計測器に応じて数値画像で得られます。

 

数値データ(RIAを例に)

non-RIの手法であるELISA同様、RIAでは検量線を作るためのスタンダード試料、計測試料をガンマカウンタ(計測器)で計測します。計測値は1分間あたりの放射線の計数率であるCPM(count per minute)という数値で表されます(ELISAでの計測値である吸光度等と同じようなものです。)。その数値から検量線を作り、着目する物質の濃度を求めます。考え方はnon-RIの手法と同じですので難しく考える必要はありません。

 

画像データ(オートラジオグラフィを例に)

オートラジオグラフィは動物体内でのRIの分布等を調べる方法ですが、試料をイメージングプレート(計測器)で計測します。データはRIの分布画像として得られます

 

実験のフロー(細胞増殖試験を例に)

基本的には、放射性試薬を調整し、それを培養細胞、実験動物に投与し、最後に計測してRIからの放射線の数をカウントしますが、ここでは細胞増殖試験を例にとり、RI実験のフローをお示しします。

 

①培養細胞等、必要なものをRI施設へ搬入

事前に実験に必要なものをRI施設へ持ち込みます。施設によって管理手続き方法が異なりますので、施設の指示に従ってください。

②放射性試薬の準備

市販品の[methyl-3H]thymidineを系に適した濃度に調整します。

③培養細胞へ投与

細胞増殖刺激(阻害)物質の添加後、調整した[methyl-3H]thymidineを添加し、thymidineを取り込ませます。

④培養細胞の回収

培養細胞をバイアル等に回収します。

⑤計測

液体シンチレーションカウンターで計測します。

⑥データ処理

コントロール試料から得られたカウント(放射線が計測された数)を100%として、増殖刺激(阻害)物質によるカウントを比較します。

 

※用いるRIの半減期が短い場合の注意点

RIは壊変を起こし、原子数が時間の経過につれて減少します。原子数がはじめの半分になるまでの時間を半減期と呼び、RIごとの固有のものですので、半減期が短いものは放射性試薬を入手してから使用するまで短い期間で実施する必要があります。

 

 

5)放射性試薬の分類

放射性試薬はその用途ごとに分類ができます。ここでは、その主な分類と入手方法について紹介しますので、試薬を選ぶ際の参考にしてください。また、数多くの放射性試薬を日本アイソトープ協会より購入できますので、こちらから探してみましょう。注文方法は施設ごとに異なりますので、放射線安全管理担当者に相談してください。

 

1.精製アイソトープ(RI単体)

RI単体になります。元素そのものの動態をトレースする場合や特定の化合物に標識するために使用します。

例:51Cr、67Cu、123I

また、当協会でお取り扱いしているRIを黄色で示してあります。製品を検索される場合は、こちらから「核種名」のタブでご希望のRIを選択し、「検索対象」で精製アイソトープを選択し、検索してください。検索できないものについてはお問合せください。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
1 H He
2 Li Be B C N O F Ne
3 Na Mg Al Si P S Cl Ar
4 K Ca Sc Ti V Cr Mn Fe Co Ni Cu Zn Ga Ge As Se Br Kr
5 Rb Sr Y Zr Nb Mo Tc Ru Rh Pd Ag Cd In Sn Sb Te I Xe
6 Cs Ba La Hf Ta W Re Os Ir Pt Au Hg Tl Pb Bi Po At Rn
7 Fr Ra Ac Rf Db Sg Bh Hs Mt Ds Rg Cn Nh Fl Mc Lv Ts Og
Ce Pr Nd Pm Sm Eu Gd Tb Dy Ho Er Tm Yn Lu
Th Pa U Np Pu Am Cm Bk Cf Es Fm Md No Lr

 

2.ヌクレオチド

遺伝子、ゲノム解析(DNA 断片の単離、遺伝子の機能解析、変異解析等)のために使用します。
例:Adenosine 5′-triphosphate, [γ-32P]-、Deoxycytidine 5′-triphosphate, [α-32P]-

 

3.Radioimmunoassays(RIA)

血漿、細胞培養上清、体液試料から着目するペプチドやタンパク質を計測するために使用します。
例:TSH[125I]RIA Kit、125I OREXIN A RIA Kit

研究用途の放射性体外診断用医薬品のお取扱いもございますが、こちらはJ-RAMには掲載しておりませんのでお問合せください。

 

4.低分子化合物

代謝実験等で使用します。
例:L-Serine, [14C(U)]、Oleoyl Coenzyme A, [oleoyl-1-14C]

当協会では5000以上の製品のお取扱いがありますので、様々な化合物をトレースできます。

 

5.放射性医薬成分 (試験研究用)

病態解析や創薬研究の際のコントロール等に使用します。フルデオキシグルコース(18F)をはじめとした、多数取扱い製品がございますので、詳しくはこちらからお問合せください。
例:フルデオキシグルコース(18F)、クエン酸ガリウム(67Ga)

J-RAMからは検索できませんのでお問合せください。

 

 

6)放射性試薬の選定

2)できることリスト(実験一覧)の各リンク先に記載の通り、実施する実験によって用いる試薬はある程度見当を付けることができます。その後、RIの種類、標識位置、比放射能などの情報をもとに、希望する規格(Bqや比放射能等)に見合う製品を選定していきます。もちろん、目的とする実験が文献等で参照できれば、Materials and methodsに記載の試薬のカタログナンバーを調べるのもよいでしょう。

 

RIの選択

化合物であれば、構造上の骨格に3H または14Cを導入したものを用いる場合が多く、代謝的に安定したものであれば14C、ミクロオートラジオグラフィー等で分解能を優先する場合は3H等、目的に応じたRIを選択します。また、そのRIから放出される放射線の種類やエネルギーの強さ等も考慮します。

標識位置

標識に用いているRIが化合物の構成元素と同じ元素かどうか、異なる場合は実験結果に与える影響を考慮します。また、同じ標識化合物でも標識部位ごとに安定性が異なる場合があります。

比放射能

比放射能が高いほど目的の分子の挙動を検出しやすくなりますが、総放射能が同じで低比放射能のものより分子数は少なくなります。加える分子の数や全体の放射能を検討し、目的に応じた比放射能の試薬を選択します。

溶媒や添加剤

放射性試薬には安定性を優先させるため、実験目的に適さない溶媒や添加剤が用いられていることがあります。

使用期間

放射性試薬には半減期が短いものがあります。実験に使用する時期に合わせて注文します。

 

 

7)実験計画

通常の化学、生物学実験との違いを意識し、余裕を持って実験できるように準備しましょう。ここでは、実験計画を立てる上での確認事項を示します。

 

実験計画を立てる上での確認事項

RIの種類の確認

施設で許可がないもの及び許可より多い放射能量のRIは使用できません。事前に放射線安全管理担当者に確認します。

計測器の確認

想定しているデータを取得できる計測器が施設にあるか事前に確認します。特にPET、SPECT等のイメージング装置を保有している施設は限られています。

実験動物の確認

実験動物を用いる際は、扱える施設かどうか事前に確認します。施設によっては培養細胞やin vitro実験のみに限定している場合もあります。

実験時間の短縮

被ばく低減の観点から、放射性試薬の取扱い時間をできるだけ短くするような手順にします。

RI廃棄物の低減

RI廃棄物をできるだけ少なくする方法を考えることも大切です。

その他のコスト

自身の所属する施設で実験できない場合は、外部の施設の利用も検討します。その場合は旅費等のコストも施設を決定する上で判断材料になります。

実験施設の選定

想定している研究内容や上記の確認事項を踏まえて実験する施設を選定しましょう。自身が所属する大学・研究機関の施設で実験できればいいですが、学外利用を受け入れている施設もありますのでホームページ等で調べてみるのもよいでしょう。

 

参考)ある施設での研究プランニング・実験サポートの例

使用したい施設が決まった場合、事前に情報の整理をしつつ、本研究ガイドを参考に相談しましょう。以下に、ある施設で提供している実験サポートの例をお示ししますが、施設によってサポートの内容は大きく異なります。重要なことは、初めて施設や計測器を利用する際は、施設スタッフに一度相談してみることです。

 

①実験内容のヒアリング

まずは施設スタッフがヒアリングを行います。

②実験プロトコルの提案

RI使用希望者の計画に沿った実験プロトコルの提案等の研究プランニングをします。

③実験~解析

場合によっては、RIの取扱い、計測器のオペレート、データ解析の指導や受託等を行っています。

 

 

8)試料のRI計測

試料の調製とRI計測には、RI独自のノウハウがあります。ここでは液体シンチレーションカウンタを中心にご紹介します。詳細はこちらからご参照ください。

 

問い合わせ先

公益社団法人日本アイソトープ協会
医薬品・試薬課
TEL:03-5395-8033
FAX:03-5395-8055 (0120-012895 注文専用)
Mail:shiyaku★jrias.or.jp
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