分子イメージング研究のためのRI実験プロトコル ~プロトコルが掲載された文献紹介~

放射性同位元素(RI)は、様々な研究領域で広く利用されております。RIを利用する実験は、一般に他の手法と比較して感度や定量性などに優れた点があり、特に分子イメージング研究ではRI利用の技術が発展していることから、薬学研究において応用的に活用できる可能性が多分にあります。このような実験に関する情報を簡便に得られるよう、この度「分子イメージング研究に関する実験プロトコル」を作成いたしました。より魅力的な研究の一助となるよう、本プロトコルをお役立ていただければ幸いです。

監修
飯塚 裕幸(東京大学 工学系・情報理工学系等環境安全管理室)
加藤 真介(横浜薬科大学 健康薬学科 放射線科学研究室)
原 正幸(東京医科歯科大学 統合研究機構 リサーチコアセンター)
松波 圭一(順天堂大学 大学院医学研究科 研究基盤センター アイソトープ研究室・放射線管理室)

作成協力
檜垣 佑輔様、土井 祥寛様、林 明希男様(日本メジフィジックス株式会社)
笠原 裕之様(富士フイルム富山化学株式会社)

 

本コンテンツの特徴

・分子イメージング実験はイメージング対象、測定装置、実験条件等が多様であるため、プロトコルを標準化、一般化することが困難です。ここでは詳細なプロトコルが掲載されている文献を紹介しています。

・さらにご自身で実験が難しそうなものや委託したいものについては、非臨床PETイメージング試験受託サービスを紹介しています。

 

本プロトコルへの掲載募集

本プロトコルは今後さらに充実させていく予定ですので、本プロトコルに掲載協力いただけるプロトコルをお持ちの方は以下のメールアドレスから件名「RI実験プロトコルへの掲載」でご連絡いただけますと幸いです。

Mail:shiyaku★jrias.or.jp
※ 上記の「★」記号を「@」記号 に置き換えて下さい。

 

目次

分子イメージングとは
実験プロトコル①~中枢神経~
実験プロトコル②~腫瘍~
実験プロトコル③~炎症~
実験プロトコル④~心臓~
実験プロトコル⑤~甲状腺~
実験を委託したい場合は?~全国の教育機関におけるPET、SPECT保有施設~
実験を委託したい場合は?~企業における受託研究サービス~


 

分子イメージングとは

 近年、世界的に「分子イメージング」の研究と実用化に対して関心が集まっています。分子イメージングとは、生体内での分子プロセスの可視化に関する基礎的・臨床的研究、および開発された可視化手法を利用する応用研究を示し、新しいイメージング技術によって生命体を明らかにしていこうとするものです。これらには、臨床画像診断学や基礎生命科学におけるイメージング研究はもとより、複数の可視化法の融合研究および異なった技術分野の統合による新情報の取得といった研究も含まれると考えられ、多くの分野の研究者の参入と密接な情報交換、および共同研究が不可欠です。

分子イメージング学会ホームページ 「当学会のご案内」内 “分子イメージングとは” より引用)

 

参考情報

Angela Kolodzjej, et al., “SPECT-imaging of activity-dependent changes in regional cerebral blood flow induced by electrical and optogenetic self-stimulation in mice. “(NeuroImage Volume 103, December 2014, p171-180)

銭谷勉 ”マイクロSPECTを用いた小動物イメージングの定量的評価”(MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY,Vol.26,No.1,January 2008,p14-20)

 

中枢神経

撮像機器 核種 製剤 表題、著者 雑誌 論文内容 プロトコルのポイント
PET 18F FDG
(Fluorodeoxyglucose)
Functional resting-state brain connectivity is accompanied by dynamic correlations of application-dependent [ 18 F]FDG PET-tracer fluctuations

Mario Amend, Tudor M Ionescu, Xin Di,

Neuroimage . 2019 Aug 1;196:161-172. 安静時のラットについて,functional MRI(fMRI)及び18F-FDG PETを同時計測し,脳内部位の18F-FDG PETの集積とfMRIのシグナル変化部位より相関関係を作成、ブドウ糖の消費と血行力学的プロセスに関して薬物動態学的に検討した内容。(PET撮影は18F-FDGをボーラス投与後のDynamic スキャン,18F-FDGを定速注入したStaticスキャンを実施) 正常ラットを用い、絶食時間,麻酔法(イソフルラン)、麻酔中の動物モニター(体温調整,呼吸管理)などの手順等詳しく記載されている。PET/MRI撮像手順,撮像条件、解析法、結果など非常に詳しく記載されており,PET単独の実験に対しても参考となる。
PET 18F FDG
(Fluorodeoxyglucose )
Absolute quantification of regional cerebral glucose utilization in mice by 18F-FDG small animal PET scanning and 2-14C-DG autoradiography

Hiroshi Toyama, Masanori Ichise, Jeih-San Liow,

J Nucl Med . 2004 Aug;45(8):1398-405. マウス脳におけるグルコース消費量(rCMRglc)を,18F-FDG PETで定量化し,2-14C-DGを用いたARGによる定量化と比較した内容。 マウス(非絶食)を用い、複数の麻酔下条件(イソフルラン吸入及びケタミン/キシラジン筋注)並びに覚醒下のrCMR測定を実施。異なる麻酔下,覚醒下の動物の保温条件について記載され,血糖値について評価されている。PET装置(日立製作所製)の仕様、18F-FDGと2-14C-DG(ARG)の投与,採血,血中放射能濃度及びグルコース濃度測定)に関する部分,rCMR測定の方法も詳細に報告されている。18F-FDF PET撮像は、2-14C-DG ARGとの生理学的条件を合わせるなどの理由のため,投与45分後に安楽死して実施。脳におけるグルコース消費量の評価のため,設定された実験条件が参考になる.
PET 18F FLT(Fluorotymidine) Comparison of 18F-FET and 18F-FLT small animal PET for the assessment of anti-VEGF treatment response in an orthotopic model of glioblastoma

Nedergaard MK, Michaelsen SR, Perryman L,

Nuclear Medicine and Biology Volume 43, Issue 3, March 2016, Pages 198-205 アミノ酸トレーサー18F-FETと核酸トレーサー18F-FLTは、PET脳腫瘍イメージングに用いられるが比較研究は少ない。ヒト神経膠芽腫(NGBM_CPH048p6)を脳内移植したヌードマウスモデルを用い,18F-FLTと18F-FETのPETによる抗VEGF抗体治療効果の評価を比較した内容。 ヒト神経膠芽腫は,ルシフェラーゼ発現遺伝子組換え処理してヌードマウスに脳内移植し,バイオルミネセンスイメージング(BLI)も評価している。脳内移植モデル作成方法、治療開始の基準,抗VEGF抗体治療とPET撮像及び評価方法も詳しく書いてある。PETによる評価の指標には,腫瘍のSUVmax及び腫瘍正常コントラスト比(TBR)を採用している。微小血管密度,Ki67についても病理組織評価を実施しており詳しく記載されている。目的とする評価に対するPETトレーサー及び評価指標の選択が参考となる。
PET 18F Amyvid(florbetapir) Preclinical properties of 18F-AV-45: a PET agent for Abeta plaques in the brain

Seok Rye Choi 1, Geoff Golding, Zhiping Zhuang, Wei Zhang, Nathaniel Lim, Franz Hefti, Tyler E Benedum, Michael R Kilbourn, Daniel Skovronsky, Hank F Kung

J Nucl Med. 2009 Nov;50(11):1887-94.

DOI:10.2967/jnumed.109.065284

脳βアミロイド斑のPETイメージング剤である18F-AV-45の特性を非臨床データで示した内容。 in vitro結合活性の測定、組織切片を用いたオートラジオグラフィー、マウス体内分布、アカゲザルを用いたイメージング及びTAC解析が掲載されている。
SPECT 123I ioflupane Combination of In Vivo [123I]FP-CIT SPECT and Microdialysis Reveals an Antipsychotic Drug Haloperidol-induced Synaptic Dopamine Availability in the Rat Midbrain and Striatum

So Hyeon Park, Yoo Sung Song, Byung Seok Moon, Byung Chul Lee, Hyun Soo Park1, Sang Eun Kim

Exp Neurobiol. 2019 Oct 31;28(5):602-611. ドパミントランスポーターを画像化する123I-FP-CITを用いて,統合失調症治療薬を投与したラットのSPECT実験を行い,治療薬投与による123I-FP-CIT集積への影響を評価した内容。 ラットへの治療薬及び18F-FP-CITの投与,引き続くSPECT撮像のタイミングが詳しく記載され,SPECT撮像条件も詳しく記載されている。また,画像解析には,受容体結合能のパラメトリック画像を作成しているが,その方法も詳細に記載されている。[123I]FP-CIT SPECTによる評価では,パロペリドール治療後の中脳及び線条体におけるドーパミン利用能をマイクロダイアリシスと同等に評価可能であった。
SPECT 99mTc HMPAO(hexamethyl-propyleneamine oxime) SPECT-imaging of activity-dependent changes in regional cerebral blood flow induced by electrical and optogenic self-stimulation in mice Neuroimage. 2014 Dec;103:171-180. 自発的に脳内刺激をするマウスにおいて,覚醒下の刺激後に脳血流トレーサー99mTc-HMPAOを投与したSPECT CTを実施し,局所脳血流(rCBF)による脳活性化バターンを評価した文献。これらのマウスについて,投与中に脳内刺激を行った状態と,投与中に脳内刺激を行わない状態に99mTC-HMPAOを投与し,直ちにイソフルラン麻酔下でSPECT撮影を行った。脳内部位参照のため,MRI撮影を実施してFusion画像による解析を行っている。刺激により,内側前脳束(MFB)の刺激部位,腹側被蓋野(VTA)の刺激部位外縁とともに,吻側内側被蓋核のrCBFの増加が認められた。 採用したマウスモデルは,MFBへの電気刺激又はVTAへの青色パルス光による光刺激に応答するモデルであり,モデルの作製方法,トレーニング方法についても詳細が説明されている。刺激から99mTc-HMPAOの投与,麻酔の適用方法,SPECT撮影条件についても詳細に説明されている。また脳内部位の決定にはCTを位置合わせの参照として利用し,MRI画像をSPECT画像とFusionしており,(CTでは判断できない)より正確な脳内部位の特定を行っている。99mTc-HMPAOによるrCBFについて解析方法も詳細に示されている。

 

 

腫瘍

撮像機器 核種 製剤 表題、著者 雑誌 論文内容 プロトコルのポイント
PET 18F FDG
(Fluorodeoxyglucose )
Anesthesia condition for (18)F-FDG imaging of lung metastasis tumors using small animal PET

Sang-Keun Woo, Tae Sup Lee, Kyeong Min Kim,

Nucl Med Biol . 2008 Jan;35(1):143-50. 肺転移腫瘍マウスを用いたFDG PETイメージングの麻酔条件を確立する内容。18F-FDG投与後の麻酔条件を変え,60分における体内分布又はPETを実施。体内分布は,無麻酔、ケタミンとキシラジン、0.5%、1%と2%のイソフルラン5群で行い,PETは,無麻酔、ケタミンとキシラジン、0.5%のイソフルラン3群で実施。0.5%のイソフルラン麻酔がベストと結論付けている。 担癌マウス(C57BL/6・♀)、腫瘍細胞の作製から担癌条件、麻酔の施し方や撮像、解析に関して詳しく記載されている。
PET 18F FDG
(Fluorodeoxyglucose )
18F-FDG PETCT as an assessment tool of hepatocellular carcinoma secondary to non-alcoholic fatty liver disease development in experimental model

Caio de Souza Levy , Fernando Gomes de Barros Costa

Arq Gastroenterol . Jan-Mar 2019;56(1):45-50. 非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)から進行する肝細胞がん(HCC)の評価ツールとして,疾患動物モデルを用いて18F-FDG PET/CTによる評価を検討した実験。 動物モデル作成方法、撮像方法、病理組織評価に関して詳しく記載されている。
PET 18F FLT
(Fluorothymidine)
Dynamic PET evaluation of elevated FLT level after sorafenib treatment in mice bearing human renal cell carcinoma xenograft

Ukon N, Zhao S, Yu W, Shimizu Y, Nishijima KI, Kubo N, Kitagawa Y,

EJNMMI Res. 2016 Dec;6(1):90. doi: 10.1186/s13550-016-0246-z. Epub 2016 Dec 12. ヒト腎がん細胞株を移植したマウスに多標的キナーゼ阻害薬を用いた治療実験を行い,18F-FLT ダイナミックPETによる集積を評価した報告。 ヒト腎がん細胞(A498)の担癌ヌードマウスモデルを作製、治療群はソラフェニブ(20mg/kg/日のp.o.)を3日間経口投与し、投与24時間後に撮像。モデル作製、PET撮像、解析に関して詳しく書かれている。評価にはカイネティックモデルを用い,コントロール群と比較し治療群で高い18F-FLTリン酸化の速度定数(k3)が確認されている。
PET 18F FLT
(Fluorothymidine)
Limits of [18F]-FLT PET as a Biomarker of Proliferation in Oncology

McKinley ET, Ayers GD, Smith RA, Saleh SA, Zhao P,

PLoS One. 2013;8(3):e58938. doi: 10.1371/journal.pone.0058938. Epub 2013 Mar 15. 18F-FLT PETについて、7種の大腸癌及び乳癌細胞株をヌードマウスに担癌させ,18F-FLT PET撮像を実施し、免疫染色やイムノブロッティング(TK1やKi67など)の評価と比較している。18F-FLTの集積は直接的な増殖を評価しているのではなく,主にDNA合成経路のTK1活性に関連していることを示唆する内容。 モデル作製について記載されている。PET撮像にはスタティック撮像とダイナミック撮像の2条件の撮像が実施され,それぞれの画像の解析方法についても詳しく記載している。また免疫染色やイムノブロッティングの方法も詳しく記載され,比較評価されている。
PET   SPECT 18F   99mTc NaF
(Sodium Fluoride)
MDP
(Methylenediphosphonic)
18F-Fluoride PET/CT and 99mTc-MDP SPECT/CT can detect bone cancer at early stage in rodents

Christiano R R Alves, Daniele de P Faria,

Life Sci . 2018 Aug 1;206:29-34 18F-NaF PETと99mTc-MDP SPECTを用いて、CTよりも早い段階の骨転移を確認することができるという報告。 ラット(Wistar・♀・18週齢)の大腿骨空洞にラット乳がん細胞(Walker256)を注入することにより骨転移モデルを作製している。モデルの作製手順やPET及びSPECTの撮像方法など詳しく記載されている。
SPECT 99mTc RET
(Arginine-glutamic acid-threonine)
REG
(Arginine-glutamic acid-glycine)
Biodistribution characteristics and SPECT imaging of (99m)Tc-RET and (99m)Tc-REG in human lung cancer xenografts

Wen-Hui Xie , Bin Zhang, Li-Hua Wang,

Cancer Biother Radiopharm . 2015 Apr;30(3):117-24. ヒト肺癌( H1299 )の担癌マウスモデルの(99m)Tc-RETと(99m)Tc-REGの生体内分布とSPECTイメージング実験の内容。 (99m)Tc-RETと(99m)Tc-REGの分子構造、標識から担癌モデル作製、体内分布、SPECT撮像(平面撮像)に関して書かれている。
PET 89Zr 抗体を標識 Development of A Novel Long-Lived ImmunoPET Tracer for
Monitoring Lymphoma Therapy in a Humanized Transgenic
Mouse ModelArutselvan Natarajan, Frezghi Habte, Sanjiv S. Gambhir
Bioconjug Chem. 2012 June 20; 23(6): 1221–1229. 89Zr標識リツキシマブによるhCD20発現マウスの腫瘍PETイメージングに関する報告.標識の最適化,通常投与群と非標識リツキシマブ事前投与によるブロッキング群との投与後5日間までのPET評価. 薬剤調製から89Zr標識の最適化,PET/CTの撮像条件と画像解析が詳しく記載されている。
PET 89Zr 抗体を標識 Measuring the Pharmacodynamic Effects of a Novel Hsp90
Inhibitor on HER2/neu Expression in Mice Using 89Zr-DFO-TrastuzumabJason P. Holland, Eloisi Caldas-Lopes, Vadim Divilov
PLoS One. 2010 Jan 25;5(1):e8859 89Zr標識トラスツマブを用いたHER2陽性腫瘍(BT474)担癌マウスのPETイメージングに関する報告.通常投与群とHSP90阻害剤PU-H71事前投与群との投与後5日間までのPET評価. PET撮像間隔が短く体内動態が分かりやすいため,RI標識抗体のPETスキャン時間点選定の参考として分かりやすい.体内分布やWestern Blottingなど,PET解析結果に紐づく評価が実施されており,実験プランの参考となる.
PET 64Cu 塩化銅溶液(Copper chloride solution) Theranostics Targeting Fibroblast Activation Protein in the Tumor Stroma: 64Cu- and 225Ac-Labeled FAPI-04 in Pancreatic Cancer Xenograft Mouse Models

Tadashi Watabe, Yuwei Liu, Kazuko Kaneda-Nakashima, Yoshifumi Shirakami, Thomas Lindner, Kazuhiro Ooe, Atsushi Toyoshima, Kojiro Nagata, Eku Shimosegawa, Uwe Haberkorn, Clemens Kratochwil, Atsushi Shinohara, Frederik Giesel, Jun Hatazawa

J Nucl Med. 2020 Apr;61(4):563-569.
DOI:10.2967/jnumed.119.233122
腫瘍間質に発現するFAP (Fibroblast Activation Protein)に結合する化合物FAPI-04を64Cu及び225Acで標識し,PETイメージング及び治療を行った内容。 64Cu,225Acによる化合部の標識、マウス担癌モデルの作成、64Cu-FAPI-04によるマウス担癌モデルの体内分布とイメージング、225Ac-FAPI-04によるマウス担癌モデルの治療について掲載されている。
SPECT 123I ミオMIBG®-I123注射液(3-Iodobenzylguanidine) Characterization and uptake of radiolabelled meta-iodobenzylguanidine (MIBG) in a human neuroblastoma heterotransplant model in athymic rats

S Nilsson, S Påhlman, H Arnberg, H Letocha, J E Westlin

 

Acta Oncol. 1993;32(7-8):887-91
DOI:10.3109/02841869309096151
ヒト神経芽腫によるラット担癌モデルを用いて123I-MIBGの集積を評価した内容。
ラット担癌モデル作成、123I-MIBGによるラット担癌モデルイメージング、体内分布測定について掲載されている。
(文献を参照) 90Y ゼヴァリン(Ibritumomab Tiuxetan) Preclinical evaluation of 90Y-labeled anti-CD20 monoclonal antibody for treatment of non-Hodgkin’s lymphoma.

P C Chinn J E Leonard J Rosenberg N Hanna D R Anderson

Int J Oncol. 1999 Nov;15(5):1017-25.
DOI:10.3892/ijo.15.5.1017
ゼヴァリンに用いられている抗CD20抗体の特性を検討した内容。 抗体へのキレーターの導入及びRI標識、イムノアッセイによる活性測定、マウス体内分布試験、マウス担癌モデルの作成と腫瘍集積評価について記載されている。

 

 

炎症

撮像機器 核種 製剤 表題、著者 雑誌 論文内容 プロトコルのポイント
PET 18F FDG
(Fluorodeoxyglucose)
Comparison of Static and Dynamic 18F-FDG PET/CT for Quantification of Pulmonary Inflammation in Acute Lung Injury

Anja Braune, Frank Hofheinz, Thomas Bluth,

J Nucl Med . 2019 Nov;60(11):1629-1634. 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)による肺炎での18F-FDG PETダイナミック検査による評価指標:肺取り込み率(Ki)及びスタティック撮像による評価指標(SUV又は血漿濃度に対する肺のSUV比)による定量の比較。 モデル動物はブタで換気を悪くすることにより急性的に肺に炎症を起こさせることより作製。18F-FDGは静脈より投与されPET撮像及び血漿サンプルの分析を行っている。撮像条件は細かく書かれ、また定量解析においても詳細に書かれている。
PET 18F FDG
(Fluorodeoxyglucose)
18F-FDG PET/MR-imaging in a Göttingen Minipig model of atherosclerosis: Correlations with histology and quantitative gene expression

Trine P Ludvigsen, Sune F Pedersen, Andreas Vegge,

Atherosclerosis . 2019 Jun;285:55-63. 18F-FDG PET/MRIの機器を用いて、アテローム性動脈硬化症モデルのミニブタで炎症を評価する内容。最終的に炎症モデルとして臨床前薬剤開発に用いることができているか検討している。 撮像方法については詳細に記載されている。モデル動物の評価方法として、組織病理評価や組織中の生体分子の遺伝子発現の評価を合わせ,18F-FDG PETの集積について評価をしている。

 

 

心臓

撮像機器 核種 製剤 表題、著者 雑誌 論文内容 プロトコルのポイント
PET 18F FDG
(Fluorodeoxyglucose)
Longitudinal 18F-FDG PET imaging in a rat model of autoimmune myocarditis

Rudolf A Werner, Hiroshi Wakabayashi, Jochen Bauer,

Eur Heart J Cardiovasc Imaging . 2019 Apr 1;20(4):467-474. 急性心筋炎の診断は従来の検査では困難であるため、自己免疫性心筋炎のモデルラットにおいて、18F-FDG PETにより炎症をモニタリングした内容。 動物は自己免疫心筋炎モデルラットを用いた。18F-FDGの投与前に14時間絶食し,腹腔内投与(37MBq)後1時間にて,麻酔下にPET撮像。モデルラット作製後,18F-FDGの投与,PET撮像を繰り返し実施することで急性期及び亜急性期の18F-FDG の心筋集積を評価し,18F-FDGを用いたARGも実施している。病理組織学的評価による炎症像と18F FDG PET及びARGによる集積像の比較についても記載されている。
PET 18F FDG
(Fluorodeoxyglucose)
Small-animal PET imaging of isolated perfused rat heart

Tomohiko Yamane 1 , Min-Jae Park, Dominik Richter,

J Nucl Med . 2014 Mar;55(3):495-9. ラット摘出灌流心臓(Langendorff法)を用い,ex vivoの18F-FDG PETにより局所レベルの心筋取り込みを評価した内容。 PETガントリ内で灌流心臓の実験を行うための工夫が詳細に記載されている。18F-FDGの添加及びPET撮像条件,18F-FDGの定量化が詳細に記載されており,心筋梗塞モデルにおいて,ex vivo PET,in vivo PET及びARGによる18F-FDG集積の欠損と,病理評価による組織傷害部位の一致性が示されている。
SPECT 123I, 201Tl BMIPP
(β-methyl-p-iodophenyl-pentadecanoic acid),
TlCl
(Thallium chloride)
Serial evaluation of fatty acid metabolism in rats with myocardial infarction by pinhole SPECT

T Hirai, R Nohara, S Ogoh, L G Chen,

J Nucl Cardiol . Jul-Aug 2001;8(4):472-81. BMIPPの心筋における脂肪酸代謝に関して、10~20%は、β酸化の後α酸化まで代謝されるが,詳細なBMIPPの代謝経路の制御メカニズムは明らかになっていない。心筋梗塞モデルラットの虚血部位及び正常部位における123I-BMIPP SPECTの集積と代謝酵素の発現を比較検討した内容。 左冠状動脈閉塞モデルラットを作製し,方法の詳細は記載されている。モデル作製後3日及び24日にSPECT撮像を実施している。SPECT装置は臨床の頭部専用機器を使用しており,pinholeコリメータを利用することで,空間分解能を上げるよう工夫している。123I-BMIPPと201Tl-塩化タリウムを連続投与後7分で,123Iと201Tlの2核種SPECT撮像を実施し,撮像条件の詳細は記載されている。代謝酵素の活性の評価方法や123I-BMIPPの集積像との比較評価の方法など詳細が記載されている。
SPECT 99mTc テクネピロリン酸キット(technetium pyrophosphate) A novel monoclonal antibody targeting aggregated transthyretin facilitates its removal and functional recovery in an experimental model

Jacob George, Maya Rappaport, Sara Shimoni, Sorel Goland, Igor Voldarsky, Yacov Fabricant, Orly Edri, Valeri Cuciuc, Shay Lifshitz, Sagi Tshori, Michael Fassler

Eur Heart J. 2020 Mar 21;41(12):1260-1270
DOI:10.1093/eurheartj/ehz695
ラットによる心アミロイドーシスモデルを用い,抗トランスサイレチン凝集体抗体を評価した内容。 ラットによる心アミロイドーシスモデルの作成、99mTc-ピロリン酸イメージングによる心アミロイドーシスの評価について掲載されている。

 

甲状腺

撮像機器 核種 製剤 表題、著者 雑誌 論文内容 プロトコルのポイント
(文献を参照) 131I ヨウ化ナトリウムカプセル(Sodium Iodide)  Development of an athyroid mouse model using 131I ablation after preparation with a low-iodine diet

Ji Min Oh, Ho Won Lee, Senthilkumar Kalimuthu, Prakash Gangadaran, Se Hwan Baek, Man-Hoon Han, Chae Moon Hong, Shin Young Jeong, Sang-Woo Lee, Jaetae Lee, Byeong-Cheol Ahn

Sci Rep. 2017 Oct 16;7(1):13284.
DOI:10.1038/s41598-017-13772-8
Na131Iを用いマウス甲状腺をアブレーションする条件の最適化を行った内容。 低ヨード食による実験動物の準備、131Iによるイメージング、甲状腺機能評価(T4測定)が掲載されている。

 

実験を委託したい場合は?~全国の教育機関におけるPET、SPECT保有施設~

詳細は下記のコンテンツをご覧下さい。

 

実験を委託したい場合は?~企業の受託研究サービス~

・日本メジフィジックス株式会社

・PDRファーマ株式会社