植物RIイメージング研究に関する各種コンテンツ

近年、植物研究分野における RIのイメージング技術が発展し、対象となる元素の動態を非破壊的に撮影することが可能となってきました。
植物が土壌や大気から元素を吸収し、輸送、貯蔵する機能を解析する技術として注目を集めています。
ここでは研究者ネットワークであるBRIngとの連携企画として、植物の元素動態の解明研究に興味がある方に向けて様々なコンテンツを提供していきます。

目次

植物RIイメージング研究者ネットワークBRIng

植物RIイメージング研究に関するレビュー

イメージング装置一覧

植物RIイメージングの実例集

FAQ

リンク集

相談窓口

 

植物RIイメージング研究者ネットワーク BRIng

生体内を駆け巡る様々な物質の動き、これを物質動態といいますが、これを明らかにすることは生命現象を正確に捉えるための重要なステップだと言えます。この生体内物質動態を捉えるための技術については、現在でも数多くその手法が研究開発されており、中でも“イメージング”は直接的で強力なツールです。植物科学の分野においても、体内物質の動態解明は重要な課題となっています。植物による環境修復や作物生産に関する研究分野では、どういった物質がどのように植物へ取り込まれ、どのように植物体内に分布し、蓄積されていくのかを知ることは非常に大きな関心事です。

イメージングを目的とした技術では、蛍光物質等を用いた光イメージング技術が発展しており、生命科学分野の発展に大きく寄与してきました。特に、蛍光/発光タンパク質の利用は、分子の機能解析に大きく貢献してきました。一方で、生体内を動く物質を生きたまま非侵襲に把握するのには、放射性同位体(ラジオアイソトープ:RI)が用いられる場面があります。これは、生体組織が厚い場合、蛍光や発光では光が生体自身で遮られますが、放射線ならば透過することができるのが理由です。さらに、植物研究では元素そのものの動きを議論の対象とすることが多いため、見るべき対象物質の分子量を大きく増やすことになってしまう蛍光・発光物質ではなく、RIをトレーサーとして用いることが多いのです。

塩基配列を解析するために32Pを使っていた時代は、生命科学者にとってRIは身近なツールでした。しかしながら、近年はRI利用者が減少し、RI施設が閉鎖されるなど、RIを利用したことのない研究者・学生が増加の一途をたどっています。一方で、植物を対象としたRIイメージングの技術は日々向上しており、多くの植物研究者にとって利用できるものもあると思います。そこで、RIの利用に長けた専門家から利用経験のない研究者まで自由な情報交換の場としてBRIng(Bio-environmental and Radiological Imaging Network Group)を立ち上げました。本HPでは、RIをイメージングする技術やRIをトレーサーとして利用した研究について公開し、さらにメーリングリストを立ち上げました。RI実験の相談等、お気軽に連絡をいただければ幸いです。

 

BRIngメーリングリストへの登録先

メーリングリストへのご登録はこちらのページからお願いたします。

 

BRIngお問合せ先

河地 有木(量子科学技術研究開発機構量子ビーム科学研究部門高崎量子応用研究所)
kawachi.naoki★qst.go.jp

田野井 慶太朗(東京大学大学院農学生命科学研究科)
uktanoi★g.ecc.u-tokyo.ac.jp

古川 純(筑波大学生命環境系)
furukawa.jun.fn★u.tsukuba.ac.jp

※ 上記の「★」記号を「@」記号 に置き換えて下さい。

 

BRIng活動報告

BRIngメンバーの活動についてご紹介します。

年月 タイトル
2019年4月4日 第60回日本植物生理学会で口頭発表を行いました!
2019年4月2日 第60回日本植物生理学会でポスター発表を行いました!
2019年3月13日 BRIngと日本アイソトープ協会が連携することになりました!

 

 

植物RIイメージング研究に関するレビュー

元素の動態を解析する植物RIイメージングという新たな方法論について、イメージング装置や実際の植物を対象としたRIイメージング実験に要求される性能を軸に、この技術を解説しています。

タイトル:植物研究に求められるRIイメージング技術とは
著者:河地 有木
Isotope News 〔No.744〕2016年4月号掲載
全文をダウンロードする[PDF]

 

 

イメージング装置一覧

植物における必須元素や有害元素の吸収・移行・蓄積する生理機能の解明においては、RIとイメージングプレートを使用するオートラジオグラフィ法がこの分野の研究に大きく貢献してきましたが、実験時に対象となる生理活性を停止してしまうデメリットを持っています。近年、このRIを生きた植物体の根や葉に吸収させ体内を移行する「動き」を画像化するイメージング装置が開発されてきました。ここでは、それらについてご紹介します。

 

装置の一般的な特長

PETIS RRIS GREI PIXE IP IP ※MAR、RLG
主な特徴 ・ポジトロン放出核種が検出可能

・定量に有利

・ベータ線を放出する核種が検出可能

・多くの購入できる核種

・複数のガンマ線を放出する核種を同時に検出可能 ・高解像度の分布画像(3Dも可、多元素も可)が入手可能 ・低コストで分布画像が入手可能 ・高解像度の分布画像(3Dも可)が入手可能
取得できるデータ ダイナミック ダイナミック ダイナミック スタティック スタティック スタティック
検出する放射線 ポジトロン放出核種由来のガンマ線 ベータ線(シンチレータで光に変換し撮像) ガンマ線 特性X線 全て可

3Hを含めて当協会が提供できるRIはすべて検出可能

全て可

3Hを含めて当協会が提供できるRIはすべて検出可能

同一試料での複数回計測 基本的には不可 基本的には不可 基本的には不可
装置保有施設 QST 高崎量子応用研究所東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター 東京大学大学院農学生命科学研究科アイソトープ農学教育研究施設 筑波大学アイソトープ環境動態研究センター QST 高崎量子応用研究所 イオン照射研究施設 多くのRI施設 東京大学大学院農学生命科学研究科アイソトープ農学教育研究施設

 

 

各イメージング装置の特長

PETIS(PETIS: Positron Emitting Tracer Imaging System)

RRIS(Real-time radioisotope imaging system)

GREI(Gamma-ray Emission Imaging)

PIXE(Particle Induced X-ray Emission)

ImagingPlate(IP)

ImagingPlate(IP) ※凍結切片法によるMicro-Autoradiography(MAR)およびラジオルミノグラフィ(RLG)

 

 

植物RIイメージングの実例集

ここでは、植物RIイメージング技術を用いて行われてきた研究について、実例としてご紹介します。

発刊年月 タイトル 著者
2016年7月 植物のNa+排出過程―RIトレーサー実験による証明― 樋口 恭子
2015年3月 Application of 42K to Arabidopsis Tissues Using Real-Time Radioisotope Imaging System(RRIS) Toshinori ARAMAKI, Ryohei SUGITA, Atsushi HIROSE, Natsuko I. KOBAYASHI, Keitaro TANOI, Tomoko M. NAKANISHI
2014年5月 リアルタイムRIイメージングシステムを用いたシロイヌナズナにおける28Mgの定量解析 杉田 亮平, 小林 奈通子, 斉藤 貴之, 広瀬 農, 岩田 錬, 田野井 慶太朗, 中西 友子
2013年1月 植物における放射性カドミウムの非破壊イメージング 鈴井 伸郎
2012年3月 根先端部における鉄動態のリアルタイム・イメージングシステムを用いた解析 小林 奈通子, 田野井 慶太朗, 菅野 里美, 中西 友子
2011年12月 アルミニウム及び阻害剤で処理されたイネ根におけるMg吸収様式の28Mgイメージング解析 田野井 慶太朗, 小林 奈通子, 斉藤 貴之, 岩田 直子, 大前 芳美, 広瀬 農, 岩田 錬, 中西 友子
2011年8月 28Mgの製造とイネにおけるMg吸収解析への利用 田野井 慶太朗, 斉藤 貴之, 岩田 直子, 大前 芳美, 広瀬 農, 小林 奈通子, 岩田 錬, 中西 友子
2010年3月 11CO2と植物用ポジトロンイメージング装置を用いたダイズ植物の根粒に対する光合成産物移行のリアルタイム解析 伊藤 小百合, 鈴井 伸郎, 河地 有木, 石井 里美, 石岡 典子, 藤巻 秀
2009年11月 ダイズ地上部におけるリン酸移行のリアルタイムイメージング 菅野 里美, 田野井 慶太朗, 中西 友子
2008年6月 イネ幼植物によるアラニンの直接吸収のイメージング解析 二瓶 直登, 増田 さやか, 頼 泰樹, 中西 友子

 

 

FAQ

よくある質問に対してBRIngメンバーがお答えします。

質問 回答
植物RIイメージングでどのようなデータが取得できるの? イメージング画像が取得できるのはもちろんですが、以下のデータを得ることができます。

・元素の分布:元素の分布(イメージング装置によっては3次元で)に加え、代謝産物の分布が分かります。また、定量値としてデータが取得できます。

・元素の分布の時間変化:吸収、輸送、蓄積等の速度が分かります。また、個体差の程度も分かります。

・同一個体での時間的変化:低侵襲なので繰り返し実験を行うことができ、個体差間を気にすることなく、環境の変化に応答した生理が起因となる体内元素動態の変動が分かります。

イメージング研究におけるRIの強みは? ・化学的挙動:化学的な挙動はもとの元素、化合物とほぼ同じですので、動態を解析するような実験において強みを発揮します。

・検出感度の高さ:RIを用いる実験は、一般に蛍光等と比較すると検出感度が大きいため、極微量でも検出が可能です。

・優れた定量性:放射性試薬から出る放射線(特にガンマ線)は物質透過性に優れていますので、生きたまま植物の深部に集積した元素を画像化でき、その分布状況を定量的に解析できます。

元素動態だけじゃなく、ホルモンもイメージングもできる? オーキシンなどの植物ホルモン等の動態もイメージングできる場合があります。その場合は、植物ホルモンをRI標識する必要がありますので、その分実験難易度が高くなります。
自施設にイメージング装置が無い場合は? BRIngメンバーにこちらからお気軽にご相談ください。コンサルティングいたします。
自身の研究にイメージング装置が必要かどうか分からない場合は? 着目する元素の分布だけが見たいのであれば、IPを用いたオートラジオグラフィが実験難易度が低いのでよいでしょう。一方で、元素の動態(吸収、輸送、蓄積等の速度)を知りたい場合は、着目する元素の動態を非破壊的にイメージングできる装置(PETIS、RRIS、GREI)が適しています。
イメージング実験の一連の試験の費用の相場観は? 価格を提示することは難しいですが、大きく費用がかかる項目としては以下があります。また、新規の実験の場合は条件検討が必要であったりしますので、さらに費用がかさむことも考慮しておきましょう。BRIngメンバーにこちらからお気軽にご相談ください。
・核種の製造費用(製造する場合)
・核種の購入費(市販品の場合)
・機器の利用料金(RI施設によって異なります)
イメージング実験ではどのくらい被ばくする? 多くても数μSv程度の被ばくですので、正しくRIを扱えば心配ありません。RIの取扱いについてさらに知りたい場合は、放射性試薬の安全取扱ガイドをご覧いただき、不安な場合は施設の担当者に相談しましょう。
植物RIイメージングに関する情報を収集するコツは? 最先端の情報については、専門分野の研究者から情報収集するのがよいでしょう。是非、BRIngのメーリングリストをご活用ください。
植物RIイメージング研究の専門家を目指す場合は? 植物RIイメージング研究を専門としているラボはそう多くはありません。
興味がある研究テーマを担当するBRIngメンバーにお問合せください。

 

 

リンク集

関連団体等のリンク集になります(別ウィンドウが表示されます)。

分類 名称 説明
施設関連 QST 高崎量子応用研究所 PETIS、PIXEを保有する施設です。
東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター PETISを保有する施設です。
東京大学大学院農学生命科学研究科アイソトープ農学教育研究施設 RRIS、MAR、IPを保有する施設です。
筑波大学アイソトープ環境動態研究センター GREIを保有する施設です。
学会関連 日本アイソトープ協会 理工・ライフサイエンス部会 本部会の植物RIイメージング利用推進専門委員会と連携して、本コンテンツを作成しています。
アイソトープ・放射線研究発表会 アイソトープに関する様々な専門分野の研究者が、各分野間の知見と技術の交流を図る研究会です。
その他 研究日誌 東京大学大学院農学生命科学研究科アイソトープ農学教育研究施設 田野井が研究者、大学教員としての活動をご紹介します。少しでも大学教員を目指す人が増えるとよいな、と思いながら情報発信します。

 

 

相談窓口

植物RIイメージングに限らず、通常のトレーサー実験についてもご相談をお受けいたします。
ご自身の研究テーマに植物RIイメージング技術が活用できるか等、ご興味がある方はお気軽にご相談ください。BRIngのメンバーが解決いたします。

 

相談の流れ

相談フォームに必要事項を記入します。
相談の内容にもよりますが、2~7営業日程度で別途メールにてご連絡いたします。
引き続きサポートをご希望する場合は再度ご連絡ください。

ご相談はこちらのフォームよりお申し込みください。

 

 

問い合わせ先

公益社団法人日本アイソトープ協会
医薬品・試薬課
TEL:03-5395-8033
FAX:03-5395-8055 (0120-012895 注文専用)
Mail:shiyaku★jrias.or.jp
※ 上記の「★」記号を「@」記号 に置き換えて下さい。
お問い合わせフォームはこちら

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