目次
実験概要
主な準備物
製品とカタログ番号
プロトコル
取得されるデータ
引用
実験概要
グルコース取り込みアッセイは、細胞の代謝活性とグルコース輸送を測定するために実施されます。グルコースの取り込みは、放射性標識されたグルコース、または2-デオキシ-D-グルコース(DOG)および3-O-メチル-D-グルコース(OMG)などの放射性標識されたグルコース類似体を使用します。
このアッセイでは、放射性標識されたグルコースまたはグルコース類似体を細胞に供給し、遠心分離またはフィルター処理によって細胞に取り込まれなかった放射性物質を分離し、シンチレーションカクテルを添加してカウントします。
あるいは、Cytostar-Tプレートを使用してハイスループットフォーマットでアッセイを行うこともできます。放射性標識されたグルコースまたはグルコース類似体がプレートの底に付着した細胞に取り込まれると、放射性同位体がプレートの底面に接近するので、プレート底面に練りこまれているシンチレータからシグナルが発生します。細胞によって取り込まれなかった放射性標識グルコースまたは類似体は、溶液中に浮遊するため、シンチレータは発光しません。
グルコースの構造
主な準備物
ロースループットアッセイ
・3Hまたは14C標識グルコースまたはグルコース類似体
・非標識のグルコースまたはグルコース類似体
・細胞
・培地、グルコースを含まないバッファー、PBSなど
・試験化合物等
filtrationアッセイ
・3Hまたは14C標識グルコースまたはグルコース類似体
・非標識のグルコースまたはグルコース類似体
・細胞
・培地、グルコースを含まないバッファー、PBSなど
・試験化合物等
・Filterプレート
ハイスループットCytostar-Tアッセイ
・3Hまたは14C標識グルコースまたはグルコース類似体
・Cytostar-Tプレート
・非標識のグルコースまたはグルコース類似体
・細胞
・培地、グルコースを含まないバッファー、PBSなど
製品とカタログ番号
標識グルコース、標識グルコース類似体
Chemical | Radioisotope | Labeling | Solvent | Specific activity | Rad. conc. | Storage | Cat. number |
2-deoxy-D-glucose | 3H | N (1,2 position) | 90% ethanol | 185 – 370 GBq/mmol | 37 MBq/mL | -20°C | NET328 |
N (1,2 position) | steri-packaged aqueous solution | 185 – 370 GBq/mmol | 37 MBq/mL | 4°C | NET328A | ||
N (1,2 position) | 90% ethanol | 0.740-1.85TBq/mmol | 37 MBq/mL | -20°C | NET549 | ||
N (1,2 position) | steri-packaged aqueous solution | 0.740-1.85 TBqBq/mmol | 37 MBq/mL | 4°C | NET549A | ||
14C | (position 1) | 90% ethanol | 1,67 – 2,22 GBq/mmol | 3.7MBq/mL | -20°C | NEC495 | |
(position 1) | steri-packaged aqueous solution | 1,67 – 2,22GBq/mmol | 3.7MBq/mL | 4°C | NEC495A | ||
U | steri-packaged aqueous solution | 9.25-13.0 GBq/mmol | 3.7 MBq/mL | 4°C | NEC720A | ||
3-O-methyl-D-glucose | 14C | (methyl group) | 90% ethanol | 1.11 – 2.22 TBq/mmol | 3.7MBq/mL | -20°C | NEC377 |
D-Glucose | 3H | N (2 position) | 90% ethanol | 0.740-1.11 TBq/mmol | 37 MBq/mL | -20°C | NET238C |
(3 position) | 90% ethanol | 370 -740 GBq/mmol | 37 MBq/mL | -20°C | NET331C | ||
(3 position) | steri-packaged aqueous solution | 370 -740 GBq/mmol | 37 MBq/mL | 4°C | NET331A | ||
N (5 position) | 90% ethanol | 370 -740 GBq/mmol | 37 MBq/mL | -20°C | NET531 | ||
N (6 position) | 90% ethanol | 0.925-1.85 TBq/mmol | 37 MBq/mL | -20°C | NET100C | ||
14C | (position 1) | 90% ethanol | 1,67-2,22GBq/mmol | 0.7 MBq/mL | 4°C | NEC043X | |
(position 6) | 3% ethanol | 1.85- 2.29 GBq/mmol | 7.4 MBq /mL | -20°C | NEC045X | ||
U | 90% ethanol | 37- 185 MBq/mmol | 3.7 MBq/mL | 4°C | NEC042A | ||
U | 90% ethanol | 9.25-13.33 GBq/mmol | 37 MBq/mL | 4°C | NEC042B | ||
U | 90% ethanol | 9.25-13.3GBq/mmol | 3.7 MBq/mL | 4°C | NEC042X | ||
U | 3% ethanol | 9.25-13.3GBq/mmol | 7.4 MBq/mL | -20°C | NEC042V |
上記の表から放射性化学物質を選択するために
化合物
デオキシ-D-グルコース(DOG)は、ほとんどの細胞に容易に取り込まれ、リン酸化されて細胞にトラップされ、その後代謝を受けません。これは、グルコース取り込みアッセイで使用される最も一般的な化合物です(reference)。
3-O-メチル-D-グルコース(OMG)は、ほとんどの細胞に容易に輸送されるグルコース類似体ですが、リン酸化されないため、細胞膜で平衡状態になります。通常、平衡状態に早急に達し、OMGの取り込みは短時間だけ直線的に増加するので迅速に測定を行う必要があります。この類似体も細胞による代謝は受けません(reference)。
D-グルコースは2-デオキシ-D-グルコースや3-O-メチル-D-グルコースなどのグルコース類似体とは異なり、脂質に組み込まれ、グルコース輸送の測定値を得ることができます。
ただし、細胞によって代謝を受けます(reference)。
放射性同位元素
14C標識グルコースとグルコース類似体、または3H標識グルコースとグルコース類似体のいずれかをアッセイに使用します。14Cは3Hに比べてエネルギーが高いため、液体シンチレーション計測での効率も高くなっています。
製品の溶媒
グルコースはエタノール溶液に入っているので、細菌や他の微生物による汚染に対して耐性があります。汚染防止は化学物質を長期的に保存する1つの方法です(特に、グルコースの場合、微生物の食料源であるため)。ただし、エタノールは細胞にとって毒性があるため、細胞標識またはin vivo実験では、使用前にエタノールを蒸発させる必要がある場合があります。
“Steri-packaged”と記載がある製品は、製品のバイオバーデン(微生物数)を抑え、製品の安定性を高めるための予防策が講じられています。
標識位置
このアッセイは代謝されないグルコースまたはグルコース類似体の取り込みが追跡できるため、酵素アッセイ等を行う場合よりも標識位置は重要ではありません。
比放射能
比放射能が高いほど、グルコース一分子あたりの放射能の量が多くなります。
プレート
各プレートの製品詳細についてはリンク先よりご覧下さい。
プトロコル
取得されるデータ
このアッセイで得られるデータは、単位時間あたり、かつ細胞あたりのグルコースのモル数として表されます。データ処理では、まず、dpmからBqに変換します。次に、Bqからモルへと変換するために、標識化合物の比放射能から計算します。アッセイに同時に加えた非標識グルコースあるいはグルコース類似体のモル希釈係数を乗算します。