RRIS(Real-time radioisotope imaging system)

装置保有施設:東京大学大学院農学生命科学研究科アイソトープ農学教育研究施設

本手法では、植物体内の物質動態を非破壊で可視化できます。それを連続で行うことで、動画の撮像も可能です。

可視化にはシンチレーション光を利用しています。つまり、β線等をシンチレータで光に変換し、超高感度カメラで撮像するのが本システムの原理です。この手法ではβ線放出核種をはじめ多くの核種の利用ができますので、可視化できる元素が多いのが特徴と言えます。一方で、植物体でも組織が厚いもの(トマトの果実など)は撮像できません。薄い組織限定のイメージング手法ですが、適用できる研究は多く存在します。

この手法を用いて、植物個体レベルでの物質動態を可視化した例を示します。ここでは、イネが根から肥料成分であるリン酸を吸収する様子を非破壊で経時的に観察することができました。さらに、この技術を顕微鏡に搭載することで、根の先端にイオンが集積する様子を観察することも可能です。植物の個体レベルから器官レベルに至るまで、この手法で可視化する事ができます。

このイメージング装置を利用して、これまでに、14C、22Na、28Mg、32P、33P、35S、42K、45Ca、59Fe、65Zn、86Rb、109Cd、137Csなどの植物体内動態を観察してきました。これらの多くは購入できるアイソトープであるので広い研究ニーズに対応することができます。多くの方に利用していただきたい装置です。