抗体部位特異的修飾法を用いた放射性医薬品の開発

Isotope News2018年2月号より、ライフサイエンス分野、医学分野等に関連する記事をご紹介いたします。

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著者:伊東 祐二,金山 洋介,林 良雄,六車 共平
概要(はじめに):現在,がんや自己免疫疾患を中心に,国内でも既に40種類以上の抗体医薬品が,IgGフォーマットを中心に使用されている(国立医薬品食品衛生研究所ホームページ)。抗体は,標的に対する高い分子標的能により,受容体やリガンド分子のアンタゴニスト(阻害剤)として作用するだけでなく,その2価性の分子構造の特性により,細胞上の受容体を架橋することで細胞へのシグナル伝達を行いアゴニストとしても機能する。更に,Fc領域を介した機能,例えば,NK細胞上のIgG受容体(FcγRⅢα)との結合による抗体依存的細胞傷害活性(ABCC)や,補体との結合による補体依存性細胞傷害活性(CDCC)によって,がん細胞等を細胞死に導き,死滅させる能力を持つ。これらの抗体の本来の機能に加え,近年注目されているのが,化学修飾により機能性リガンドを抗体に付加させた抗体医薬品である。すなわち,抗体に抗ガン剤を付加した抗体薬物複合体(ADC),例えば,Trastuzumab emtansine (Kadcyla)やBrentuximab vedotin (Adcetris),更に,キレート剤を結合させた抗体に放射性同位体を標識した放射性標識抗体,例えば,Ibritumomab tiuxetan (Zevalin)等である。本稿では,これらの抗体医薬品の作製において用いられている化学的修飾(標識)法に関して,問題点を含め概説すると共に,筆者らが,最近開発した,抗体に対する親和性ペプチドを用いた新規の抗体標識法(CCA-HIG:Chemical conjugation by affinity peptide toward human immunoglobulin G)の抗体医薬品開発における有用性について紹介する。