分子イメージング技術を利用した抗癌剤の治療効果予測

Isotope News 2017年12月号より、ライフサイエンス分野、医学分野等に関連する記事をご紹介いたします。

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著者:藤井 博史

概要(はじめに):がんを治癒に導くためには,体内からがん細胞を排除することが求められる。がんの病巣が原発部位に留まっていたり,あるいは,少数の転移病巣に留まっている場合は,局所治療として,すべてのがんの病巣を外科的に摘除したり,それらに対して放射線を照射することで,がんの根治を期待することができる。しかし,これらの局所治療でがん病巣を制御することが難しい場合は,全身療法として,抗癌剤治療が考慮される。
最近は,免疫チェックポイント阻害剤のような薬剤も開発されているが,多くの抗癌剤は,がん細胞の分裂や代謝経路を障害することにより,がん細胞の増殖を抑えている。抗癌剤の種類により,効果を示すがん病巣は異なり,現状では,すべてのがん病巣に効果を示す抗癌剤は得られていない。一方で,これらの抗癌剤は,正常細胞の分裂や代謝にも影響を与える。正常細胞の個人差は比較的小さいため,抗癌剤を投与された患者は同じような副作用に苛まれることになる。このため,効果の期待できない患者への抗癌剤の投与は,避けなければならない。したがって,治療を開始する前に,その抗癌剤の有効性を予測することは,治療の最適化を図る上で非常に重要である。