悪性褐色細胞腫に対するα線の治療効果 ─211At-MABGの標的アイソトープ治療薬としての基礎的評価─

Isotope News 2017年10月号より、ライフサイエンス分野、医学分野等に関連する記事をご紹介いたします。

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著者:石岡 典子

概要(はじめに):がんに放射線をあて,細胞の増殖を抑えたり,死滅させたりする治療法を放射線治療という。放射線治療というと体の外から放射線をあてる外照射を指すことが多いが,体の内側からがんに放射線をあてる内照射による治療法も存在する。内照射の中でも,放射性医薬品として体内に投与した放射性同位元素(RI:ラジオアイソトープ)を用いた治療は,標的アイソトープ治療やRI内用療法と呼ばれている。外照射があらかじめ照準を定めた局所治療であるのに対し,標的アイソトープ治療は全身性の治療である。投与した放射性医薬品は,体内循環により病巣を見つけ出し,がん細胞を照射する。散在するがん細胞に対しても対応可能であることから,体内に潜んでいるがん細胞をくまなく死滅させるような大きな効果も期待できる。がん細胞に取り込まれる化合物にRIを組み込み,がんに特異的にRIを送り込んで近接照射するための放射性医薬品は,標的アイソトープ治療において大きな効果を得るために重要な役割を担っている。
本稿では,悪性褐色細胞腫の標的アイソトープ治療を目指して開発したα線治療薬,211At-MABGの開発過程から前臨床における治療効果について紹介する。